HOゲージの構造について(4/18 動力追記)

※この場では1/80スケールで16.5mmの線路を使用する鉄道模型を便宜上「HOゲージ」として記載させていただきます。

あくまで本記事は「HOゲージを始めたい、始めたけどよくわからい」という方向けに書いてみました。

なので、1/80 16.5mm 16番に詳しいエキスパートの方は、エキスパートらしく優しくみてね。


さて本文です↓



みなさまお世話になっております。

最近、HOゲージを新たに始められる方が増えてきている様ですね。

また、当店の製品もHOゲージが増えてきているので、Nゲージとは似ている様で違うHOゲージの構造やパーツを紹介していきたいと思います。


目次

①車輪

②台車

③集電

④動力

⑤カプラー(未成)

⑥パンタ(未成)


①車輪

【A 軸、ピボットについて】

HOゲージの車輪は金属軸のものが一般的です。

軸がプラスチック製で車輪を差し込むものもありますが、プラスチック製車両に使われている場合がほとんどです。


車輪径は

10.5mm(実車860mm) 大半の車両

11.5mm(実車で910mm)旧国、103系、119系など

がメインで他にもございます。


車輪を発売してる主なメーカーは、エンドウ、カツミ、日光モデルになります。


軸の先端部分は尖がっているピボット軸受け用と、尖がっていないプレーン軸受け用があります。

ピボット軸受けは、Nゲージでメインの構造で、軸の尖がっている先端と軸受けのすり鉢状にへこんでいる底部が接触する構造になります。


プレーン軸受けは軸の面と軸受けの面が接触する構造になっています。

それぞれピボット(PV)、プレーン(PL)と記載されているので、台車に合わせて選択してください。


【B 通電について】

車輪の通電方式は、Nゲージと同じく、両側絶縁(両絶)と片側絶縁(片絶)があります。

両側絶縁は車輪のみが通電し軸は絶縁されているものになり、金属軸の物は軸、ピボットは無電になります。


片側絶縁はHOゲージではメジャーな方法で、片方の車輪が軸つながって通電しており、もう片方は絶縁材で軸と車輪が絶縁されています。

その為、軸、ピボットは絶縁されていない側の極性が流れています。


プラスチック軸のものはNゲージでもメジャーなタイプで、HOゲージでは主にプラスチック製車両に採用されており、プラ軸部分は無電となり左右の車輪とピボットはそれぞれの極性が流れています。



②台車

【A 台車の構造】

HOゲージの台車は、側面、ボルスタ(マクラバリ)とも金属でできております。

軸受部分は、上記の車輪のようにピボットタイプとプレーンタイプがあります。

構造は側面とボルスタが分かれておりビスで固定されています。

側面とボルスタは、がっちりと固定されておらず、側面がビス止め位置を中心に若干回るようになっております。

これにより、車輪が上下稼働し線路への追従性を上げています。


台車を発売してる主なメーカーは、エンドウ、カツミ、日光モデルになります。

プラ製台車は金属製と同じように分かれているものがありますが、Nゲージ同じ様に一体になっているものもあります。



【B 台車の取付方】

台車の床板への固定方法はセンターピンを使用してとりつけます。

センターピンと言ってもNゲージの様な樹脂製の割ピンの様なものでなく、HOゲージではビスで留めるものになっております。


センターピンを発売している主なメーカーは、エンドウ、カツミ、日光モデルになります。


使用方法は一例として下の図の様になります。(日光モデル製)


取付の際は、

1、樹脂製のボルスタを床板の穴に差し込みます。

2、センターピン付属のビスにスプリングを通し、台車の穴に差し込んで、樹脂ボルスタの穴に入れて突き出します。

※この際、ビスの段のところまで台車が当たるようにします。

 スプリングの関係でうまく段のところまで当たらなかったりしますので、ビスを動かしたりして、しっかり入れましょう。

 段まで入れないと、ナットで留める分のビスが出なかったり、スプリングが微妙になり台車がうまく回らなくなってしまいます。

3、突き出たビスに絶縁板、ラグ(ひょうたん型の金属パーツ)を入れ、センターピン付属のナットで留めます。

以上で取り付けは完了です。

台車から集電する際はラグの小さい穴に電線を入れハンダなどで固定します。


取り付け方は日光モデル製のセンターピンになり、他の製品では違うことがあります。


その他、プラ製などは直接ビス止めするものが多いです。




③集電

プラ製車両はNゲージと同じくピボットから集電する方式になっております。

しかし、金属製台車はNゲージからみると特殊な構造になっております。


まず、金属製台車には集電シューがなく台車自体が通電しております。

また、台車は左右を金属製ボルスタにネジでとめられおり左右で同じ極性が流れるようになっております。

そのため、プラ軸車輪など両側から集電したものがピボットに流れる車輪を使うとショートしていまします。

このショート問題を解決するのが、上記の車輪の項目で書いた通り片絶車輪となっております。

これで台車はショートせずに済みますが、このままでは片方の極性しか集電できません。

ではどうしているかと言えば、車両の前後の台車でそれぞれの極性を集電してそれぞれを電線でモーターやライト類につなげています。

その為、片方の台車を180度回して集電している車輪の向きをそろえてしまうと結線している場合ショートしてしまいます。

また、前後の台車とも180度回してしますと、ショートせずモーターは問題なく動きますが、前照灯尾灯がある場合は、尾灯が点灯して前進してしまいます。


【注意】

HOの金属製台車の車輪は、片絶のものが使用されることが通常です。

そのため、台車に車輪をハメる際、絶縁側を互い違いにしてしますとショートします。

なので、一つの台車内の車輪は、絶縁側を揃えるようにしましょう。



また、プラ製車両は台車から伸びた集電シューが車両の集電板に接触してつないでいますが、金属製台車の場合は台車と床板をつなぐビスを通してつないでいます。


ちなみに、「電線でモーターなどにつないでいる」と書きましたが、金属製車両はプラ製車両のように集電板で接続しているのではなく、通常のコード線をそれぞれハンダで留めています。

金属製台車はそのままでは片側のレールだけの集電になってしましますが、各メーカー様から絶縁してある車輪から集電できるパーツ(集電シュー)も出ております。

これは、集電シューを絶縁パーツでボルスタ(マクラバリ)などに固定して(金属の穴開けなどが必要な場合があります)、絶縁側の車輪のフランジ裏などにシューを当てて集電します。

集電シューから先は集電シューに電線をつないで取り込みます。


ちなみに当店のHO製品も上記の台車、台車の取り付け方を使用するものになっております。




④動力

HOゲージの動力で現在主流なのは「パワートラック(パワトラ)」と「MPギヤ系」になります。

プラの完成品では独自の構造になっていたり、キットでは使用されないので割愛します。


【A パワートラック】

パワートラックは台車内にモーターが入っております。

その為、取付穴の拡大が必要になることもありますが、T台車の様に取り付けられます。


パワートラックを発売している主なメーカーは、アルモデル(組み立て式)、天賞堂になります。


組み立て式のものもありますが、大半は組み立て済みでレールに置けばすぐ走るようになっております。

ただ、Nの鉄道コレクション動力のような台車側面は含まれておりませんので、別で金属台車を用意しパワートラック付属や別で用意した専用のボルスタを使用して、パワートラックに取り付ける必要があります。

【注意】

製品によりますがパワートラック用のボルスタも金属製がありますので、台車側面が車輪に当たるとショートしてしまうことがあります。

ちなみに、パワートラックで使用している車輪は大抵、プレーン車輪になっております。

そのため、パワートラックを使用する台車はプレーン車輪仕様の台車を使用してください。(ピボット用の軸受けにプレーン車輪は入りません。)

また、鉄コレ動力の様に台車に合わせて軸距が用意されてますの、台車に合わせてご用意ください。

31mm(表記 31Pなど) 主に、DT10、DT12などの旧国用の台車

28.5mm(表記 28.5Pなど) 主に、DT33

27.5mm(表記 27.5Pなど) 主に、私鉄の台車

26mm(表記 26Pなど) 主に、DT21、DT32、DT50、DT61など多くの台車

24.5mm(表記 24.5Pなど) 主に小型台車


パワートラックの床板への取付は、パワートラック付属のビスで直接床板に取り付けます。

この際、もう片方の台車からも集電する場合や、室内灯などで電源が必要な場合は、パワートラックの片側から出ている集電ラグに一つの電線をつなぎ、もう一本は床板に固定する中心部分にセンターピンと同じように集電ラグをつけてそこに電線をつなぎます。


走行させる編成や環境に応じて、1両の前後ともパワートラックにしたり、片側の台車だけパワートラックにします。

また、編成に応じてパワートラックを取り付ける車両を増やします。

(例として、平坦でペーパー車体(1両80gぐらい)であれば3両に0.5Mぐらいがいいと思います。)


パワートラックの注意点としては、車輪からの集電が、フランジ裏に集電シューを当てているだけなので、集電性が弱いため、ポイントの無通電区間や、レールの汚れで止まりやすい点があります。

これは、前後ともパワートラック化したり、ウエイト積んだり、もう片方の台車から集電したりすることで解決できます。



【B MPギヤ系】

MPギヤ系は実物の気動車の様な構造になっております。

実際は、床下にモーターを固定して、モーターの前後から伸びているシャフトにユニバーサルジョイントをつなげ、車輪とつながったギヤのシャフトをつなげた構造がベースになります。

MPギヤ系は大きめのモーターを積め、ウエイトも大きいため、走行はパワーもあり安定しております。

そのため、金属製の車両に使われることが多く、パワートラックと違い金属製車両では、7両編成ぐらいでしたら編成中1両だけで使われてることが多いです。(走行環境で異なります。)

キットなどでもその利点で、MPギヤ系を選択される方も多いです。


MPギヤ系を発売している主なメーカーは、IMON(IMONギヤ(FMギヤ))エンドウ(MPギヤ)、カツミ(ACEギア)になります。

上記の図は、基本的な電車、気動車の取付方ですが、機関車の場合は専用の車輪付きギヤで車内にモーターを積んだり、路面電車の様な小型車両では片側の台車のみ走行用にしたりと車両に応じて、取り付け方やパーツが異なってきます。

シャフトで動力を伝達している都合、台車の回転範囲に制限が出てきてしまい、R600ぐらいのカーブでは問題ありませんが、それより小径ですとシャフトが抜けたり走行できないこともあります。


MPギヤ系は床板に組み立て済みの製品もありますが、基本的には必要なパーツを買いそろえて、組み立てたり、床板に固定するようになっております。


詳細な組立方は長くなってしますので、エンドウより発売の「MPギヤの使いかた2-マニュアル&カタログ」や、「MPギヤ 取付」で検索していただくと取付記事が出てきますので、そちらをごらんください。


ちなみに、MPギヤ系は片絶車輪で金属台車のため、上記の図や説明の様に前後の台車でそれぞれの集電になっております。




以上の上記の二つが現在主にキットで使用されるHOの動力になります。


また、過去には「インサイドギヤ」などもありましたが、新規ではあまり使用されず、部品の調達も大変なのでここでは取り上げません。

興味がある方は調べてみてください。


当店製品では、ペーパー製の為車体が軽く、編成長も長くならないものが多いためパワートラック基準で設計しております。

電車製品につきましては、MPギヤも使用できるようにしておりますので、エンドウの組み立て済みの動力ユニットがそのまま入るようになっております。(一部車両では加工が必要な場合がございます。)

床板を1mm厚の金属板にしていただき、MPギヤを組み立てたものでも大丈夫です。




とりあえずここでいったん公開したいと思います。

なるべく早めに続きを書きたいですが、次回更新は未定です。


こんな記事ではありますがご参考になったら幸いです。


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